僕がわざわざ「ジェム」より「宝石」と呼ぶ
ハイエンドクォリティのターコイズを得るためには
その対極にあるターコイズ、はたまたそのイミテーションまで
全てを知る必要がある。
というわけで授業料は惜しまない。
あまりに突飛な価格がついた偽物でなければ
資料として買って出来る限り調べてみる。
売り手の人脈、流通の経路、それから現物をテスト
高回転のグラインダーで削って摩擦を加えてみて
確信したら高温のバーナーで着火してみて最後に火遊び
ここまで炎が上がることは多くはない
このサンプルの個体はパイユート
彼のビズビーもレッドマウンテンもよく燃えた
彼はシェアを持ってるから
国内外共に青ざめるディーラー、アーティストも多いはずだ。
トップアーティストも彼の石を使ってることは少なくない。
でもそれほど思い込みは禁物ということ
売り手の彼は「ナチュラル」と言っても
「ノートリートメントとは言ってない」
それになんといっても「価格が高くない」
注:スタビライズ加工は焼けてもエンハンス加工は焼けない 燃えない
商標登録されたスタビライズドビズビー
「ビズビーブルー」の話題を出してしまったからには
恐らく皆様に湧いた疑問に答える必要がある。
これからなるべく続けてこの疑問に答える資料を上げようと思う。
BEAUTIFUL BISBEE BLUE
1995年頃、ビズビーまで足を延ばして
ビズビーターコイズを探そうとした。
その時はまだ
「必ずしも現地にターコイズがあるわけではない」ことを
実感してなかった。
町中にビズビーターコイズはなく
ファンシージュエリーの店で1点だけ
14金でできた当時2000ドルのリングを見つけただけだった。
街はずれのラベンダーピットにはBISBEE BLUEという看板
訪ねるとそこはビズビーを使ったインディアンジュエリーの店
入口に近くには非売品の大柄なペンダントが参考価格20000ドル
見つけた、20000ドルはともかく小さいものなら
ところが売ってるものの価格は30ドル~600ドル
安いと言って喜ぶほど素人じゃない。
何かしらの処理がされてることは想像した。
とにかく買って、
貰ってきたフライヤーの英文を繰り返して読んだ。
「ビズビー地方でとれたターコイズ、ビズビーのターコイズ
いろいろ言われてビズビーターコイズは売られている。
商標登録された本物のビズビーブルーターコイズを
売っているのは私たちだけである」
なるほど登録商標されてれば本物は商標の持ち主のそれだけだろう。
トリートメントの有無まで書くわけもない。
それをターコイズの父と呼んだラリー(2002年没)のところへ
持って行って見せた。
「こんなの見つけたよ」
「見つけたか(見破ったか)
私も70年代初めにそれが出てきたとき
その量と価格の安さに驚いたんだよ
そこでBに、おまえこのビズビーに何をした?って聞いたけど
奴は最後までスタビライズって単語を使わなかった。
なんて言ったと思う?」
「何て?」
「カルチャーしてやったんだそうだ」
ものは言いよう、新しく聞いた表現に笑った。
高度な技術でスタビライズしてるとも聞いたけど
樹脂を染み込ませるその技法にそれ程差があると思えない。
いずれにしても元がチョーク状のその材料は
採掘量全体の90%あることに代わりない。
全て「ビズビーブルー」、商標名入りの台紙付きも手に入れた
ビズビーブルーは登録商標が保証する
ビズビーターコイズの正式なオーナーによる
出所明らかな美しいスタビライズターコイズだ。
安価なハズだから騙してるわけでもなく問題ない。
ただ期待と違う真実が知らされていないだけ。
その期待を満たすには高額な出費が必要なことと
更に希少性が高くなって負担が増えることにつながる。
知らない方が幸せなことってあるんだ。
つづく
スタビライズド、エンハンスターコイズ等
トリートメントを受けた(有添加)ターコイズは
市場で「ナチュラル」「天然石」と呼ぶことを法的に認められてる。
90%を占めるそれらに対して僕が探して扱うターコイズは
10%のノートリートメント(無添加)ターコイズの中で
高等級の1%、宝石等級0.1%以下のものだ。
ターコイズに限らずルビーもサファイアも他の石も
トリートメントを受けたものが普通で偽物じゃない。
僕がオールド(五十年代前後)を探すのは高品質が多めで
クラシック=王道の見た目を持つ宝石が在り得るから。
詳しくはカテゴリ、リンク、タグ、ブログ内検索、参照
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