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still remain the same / NATIVE SPIRIT (R)

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オリジナル フィニッシュ サドルレザー pt.4

この32年、口コミのお蔭で直接の能書き無しでやってきたけど
ここに来て書き始めたらくどくど長く、止まらなくなってる。
ほとんどが歴史のサイドストーリーなんだけど
そんなことがあったのかと軽くとらえてくれればいい。
健康で続けられたとしてあと15年くらい
全体でいうとあと3分の1残すところまできた。
そんなわけでどうでもいいことや自慢話しを含む備忘録みたいなもんだ。


「これはあり得ない」
20年近く前、革材料の老舗C社のSさんが
サドルレザー作品を手に取って言った。

G'sで89年に鹿革、明けて90年からサドルも担当するようになって
平行して作ってたNSオリジナルの製品も上野を中心に持て囃されるようになった。
販路を渋谷界隈から上野に移したのは原点回帰というか、
売れない80年代に、70年代からのカルチャーを少しでも残して
引き継いでいたのが上野だったから。

90年代半ばにさしかかる頃になると多数の類似品の登場からブームが起こり
相当の後発の新興メーカーが追随してきた。
そのころになると それまで入手不可能だったサドルレザーが
普通に入手できるようになった。
NSは相変わらず最初に手配してもらった「商品名の違うサドル」を使い続けてた。

そのころの新興メーカーで
中でも研究熱心な個人製作の作家たちが
G'sやネイティブスピリットの革の風合いを
再現しようと試み
「あれは真似できない」と評価してくれた。
直接訪ねてきて試行錯誤を重ねた作家もいたし
それぞれがいいものが作れてたと思う。
その個性が真似できなかったというだけで
全体的に成熟することになった。
もちろん新興メーカーは夥しい数いたから
10年くらいの間に淘汰されて減ったけど
その後またウォレットのブームがあって
新興メーカーは後を絶たず、クォリティも上がった。

NSはその間もずっと変わらない仕上げで続けてきたんだけど
最初に使った「商品名の違うサドル」は2000年代に入ると品質が著しく落ちて使用終了。
その頃には一般的になってたサドルレザーは 更にメーカーが増えて選べるようになってた。
それを選ぶ過程の繫ぎに、バッティングを避けるために使わなかった
G'sのサドルも一時使ったことがある。
いずれにしてもいくつか試した後普通のサドルレザーの中の一種に落ち着いた。

ネイティブスピリットの販売店の売り口上で
「国産高級サドルレザーを使用して・・・」
よく誤解されてる
説明が簡単でセールストークとしては
それが解りやすいんだと思う。
実際は普通のサドルレザー
サドルレザーはヌメの中で高級に類するだけで
特に高級なサドルレザーを使ってはいない
手間をかけた追加加工が効いてるんだ。
いちいち「オリジナルフィニッシュ」と書くのは
独自の追加加工で普通のサドルを最高級にしてる
そこが大きい違いを作り出してるからだ。

確かに最近では外国の高級サドルや
ブランド名のある国産の高級サドルが出そろってる
でもね、何事も心構え
「いい革使えばいいものができるとは限らない」
ここでPt.3の巨匠の言葉に逆から繋がる

売れない時代、G'sの大先輩Mさんに言われた
「一度でも触れたら忘れられなくなる革」
それをそういう革がない時代に作り上げてることに
僕らの誇りと自慢と自信がある。

「こんな革あり得ない、
どこからこんないい革調達できるんですか?」
そう言ってくれた冒頭のC社のSさんに
「別に、普通のサドルレザーだよ、
C社のサドルレザーも使ったことあるし
うちが仕上げれば普通のサドルでこう出来る。
試しにサンプル持ってきてよ、
うちが使える革はC社にあり得るはずだから」
その後SさんC社取扱いのヌメ革から
5種類選りすぐりのサンプルを持ってきてくれた。
中には現在の革より高級な革も含まれてる
すぐに見て触って想像できる。
「この3枚は仕上げればうちの革と
同じようにあり得ない革にできるよ」

特にSさんには言わなかったけどその中の一種はすごく化けそうな予感があった。
けどここでまた巨匠の言葉がよぎるわな。
それまでの革であり得ないって言わしめたんだ、
さらに、高い材料でいいものを作るとしたら別ラインをでっちあげた方がいいな。

最近も
ウォレットメーカーの会社を興した若者が
偶然通りがかりで入ってきて
ネイティブスピリットのサドルを見てくれた。
「どこの革使ってるんですか?」
もちろん胸を張って答えたよ
「どこにでもある普通のサドル」ってね。
驚いてくれたし、
Pt.3の新宿の巨匠の言葉も伝えておいた
きっと彼等もいいものを作ってるに違いない
けど、材料に頼らず考えることを足したら
もっと良くなるんだろうね。

ところで、そんな
「一度でも触れたら忘れない革」を作ったのは
売れない時代だったからで
行列ができて多忙になりすぎたお店では
やめちゃったみたいだ。
もう黙ってても売れて品薄だからね
そのオーバークォリティの仕上げは
だいぶ前から省略され始めたし
今では金具やファスナーも使うようになって
ブランド立ち上げた初期70年代の
普通の革製品に戻したらしい。

僕は離れるにあたって
忙しすぎる恩師のブランドのようになるのを避けて
ローカルでの仕事を続けてるから
この独自の追加加工や
縛る結ぶだけで組み上げる仕上げを
恩師の残したブランドがやめた今でも、
今でも続けていられる。

オリジナル フィニッシュ サドルレザー pt.4_f0072997_20163253.jpg
32年振りに新しいデザインで復活
ネイティブスピリットオリジナルフィニッシュサドルレザー
ショルダーバッグ
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by cwdye | 2020-04-05 20:10 | introduction 紹介
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