2023 1月 9日 初掲載
2/1 追記
3/17 エンハンスTqsナゲット画像追加
2024 3月 確認事項追記
トリートメント=加工 ターコイズの一種
「エンハンスト技法」の解説
ジョー・ダン・ロウリーの著書「TURQUOISE」の中にも解説がある通り
ザカリー兄弟で一番下の弟で
科学者のジェームズEザカリーが
1980年代後期に発明した加工法。
量産ターコイズ業者に用いられて、1990年代から量を増やした。
名称 呼び方
Enhanced Turquoise = Zachery Treated Turquoise =
Zacherlized Turquoise,
Zachery Method by James E Zachery
エンハンス=ザカリートリート=ザカライズド
ザカリーメソッド by ジェームズ・E・ザカリー
メソッド=技法
ジェームズEザカリーは
2016年 ジョー・ダンに確認したところ存命で現役科学者
ナノテクノロジーの最先端を研究している、とのこと。
その後ジェームズEザカリーは数年前に逝去(2023年夏確認)
ネイティブスピリットが誇る「ザカリーコレクション」は
ザカリー家(注釈) の「トレジャーコレクション」で
ノートリートメント=無添加無加工ターコイズの中でも
格別な最高級グレードの極希少な宝石ターコイズだ
エンハンス加工について名前しか触れていなかったのは
エンハンスターコイズのシェアが限られているという理由から。
ネイティブスピリットまでたどり着いてしまった奇特な皆様が
探しているであろうジェム(宝石)ターコイズのような
極希少で特殊な見た目のターコイズは
エンハンストターコイズの見た目から程遠く
間違いが起こる可能性が極端に低い。
むしろ簡単に処理できるスタビライズドの方が
全ての色 模様が似たものがリリースされるから
間違いが起こる危険はざらにある。
(かつて1990年代初頭、1980年代から大量に売られた
スリーピングビューティの量産インディアンジュエリー、
日本の特定のブランドなど
量産のためロットの確保が必要なところで使用されている)
トリーテドターコイズ=有添加ターコイズ
スタビライズドとエンハンス 加工処理の違いは
素材になるターコイズの質が限られること。
おおかた、仕上がりの見た目が違う。
スタビライズドターコイズは
チョーク状の低硬度 マトリクスの多少にかかわらず、
全ての低品質ターコイズを加工処理できる。
樹脂に浸しておくだけのピクルス感覚
キッチントリートとも言われるほど簡単
エンハンスできるターコイズは
チョーク状 石膏状より硬い、ある程度の硬度がある素材
模様になる母岩/マトリクスは多くない素材
(樹脂で繋ぎとめるスタビライズのように
硬度が低い石膏状チョーク状の素材をかためることは出来ない.
無添加ナチュラルで使用できる高硬度もエンハンス加工を受け付けない)
エンハンス=ザカリーメソッド
メソッド=技法は化学処理加工なので作業環境が必要
処理にかかる時間は3~6週間要する
メソッド使用に特許料を払う必要がある
特許で秘匿された技術は電解的技巧による
以上から
以上の条件を満たす素材で、
投資に見合う量が確保できる鉱山に限られる
結果
エンハンスされるのは一部のターコイズで
リリースが続くスタビライズドターコイズに比べると
リリースの時期やロットは限られる
(それでも膨大な量、市場には常に在庫されているはず)
エンハンス処理ターコイズの仕上がり
特許取得済の電気化学(エレクトロケミカル)によって人工的に
多孔質な石の隙間に硬化する天然成分を育成させて
高硬度(注釈)に仕上がる
天然成分を育成させることにより
人工的な成分は含まれず簡単には鑑別不可能(注釈)
もとの薄い色が引き立って濃くなる(エンハンスの言葉通り)
白くなるマトリクスがある(注釈)
ただし、時間が経つと退色(注釈)する
エンハンストをリリースされたターコイズ鉱山の種類
スリーピングビューティ
ペルシャ
メキシコ
チャイニーズ(エメラルドバレー)
他わずか
高硬度(注釈)
石膏状 チョーク状のターコイズに樹脂を染み込ませた
スタビライズドは樹脂が固めた粉の硬さ。
樹脂には靭性があるので割れにくい
とはいえ摩擦に耐える強度は低い。
対してエンハンストはその電解的技巧で
「人工的に」「天然で育ち切った」状態に仕上がる。
つまり5~6以上の充分な高硬度が得られる。
(以前壊してみたエンハンストペルシャの個体は恐らく7前後まであったと思う)
鑑別不可能(注釈)
簡単ではないということで鑑別は可能。
スタビライズドは樹脂を検出できれば鑑別できるが
エンハンストは「人工的」でも「天然で育ち切った」状態
簡単な方法では天然素材しか検出できない。
高度な鑑別技術で分析すると
その「人工的」な加工の形跡が現われる。
白くなるマトリクス(注釈)
もともと白いマトリクスも多いが
エンハンスの特性から白っぽくなると思われる
薄い色のマトリクスが模様をはっきりさせない部位では
ターコイズの色も引き立たないため
黒く墨入れされてカットされる
退色(注釈)
「エンハンストはいつか退色する」(?)
ジョーダンから聞いてる、GIAも書いている、が
まだ退色したという個体を確認したことがない。
色が薄いエンハンスは見たことがあるが
もともと か 経年劣化の退色か は判別できず
一つの個体サンプルでの退色は確認できていない。
変色したものは見たことがある。
これは退色した上で変色しているかも知れないし
そのまま変色したのかわからない。
樹脂で安定化させるスタビライズドと違い
ナチュラル同様の仕上がりは
油脂類の浸潤、酸化といった環境に曝されて
変色しやすいかもしれないし、個体差もあるはず。
ダイドマトリクス(注釈)
ターコイズ全体の追加加工の技法の一つ
薄い色のマトリクスしかないターコイズの
「見た目を締める」ためマトリクスに墨入れする。
安いキングマンのスパイダーウェブは
ほぼダイドマトリクスで仕上がっている。
多くのナゲットもダイドマトリクスは多い。
有添加トリ―テッドターコイズ、
無添加ノントリーテドターコイズ共にある。
無添加天然で、高品質ハイクォリティだとしても
ハイグレードほど高価にはならない。
ハイグレード#2 とか 準ハイグレード という感じ
(有添加に入らない加工に関していつか別途解説する)
ザカリー家(注釈)
1940年代中期~1980年代初期
1980年代中期~現在
ターコイズをカットする仕事=ラピダリー
ターコイズを使ったインディアンジュエリーを
製造販売するディストリビューター
いくつかのターコイズ鉱脈オーナー
屋号「ザカリーブラザーズ」「ザカリーターコイズ Inc.」
「JCザカリー工房」1956年~1981年
「ザック-ロウ Inc.」1990年代~
「ターコイズミュージアム」著作物、LFCジュエリー
「ザカリーブラザーズ」が活動した時期はザカリーメソッド発明以前、
ドン・ザカリーの引退で「ザカリーブラザーズ」終了、
その後「JCザカリー工房」の活動時期80年代中期まで。
3/16追記 2024年 2月確認
ジェームズEザカリーが発明したザカリー技法の
エンハンストターコイズは
ジュエリービジネスのザカリーでは扱わなかった。
ザカリー、その後のザックロウは
エンハンスだけでなくスタビライズド等
安定加工ターコイズを扱っていない。
エンハンス加工は世紀の大発明となり
量産ターコイズ加工業者によって
主に1990年代以降世にリリースされていく。
ザカリーブラザーズ、JCザカリー工房以後
3代目のケイティ・ザカリーとジョー・P ・ロウリーの
婚姻でできた「ザック x ロウ」の名前で
多数所有するファミリービジネスを総称して
ザックロウ Inc. と名乗ってる。
4代目ジョー・ダン・ロウリーの引退で
5代目ジェイコブ・ロウリーに引き継がれ
「ターコイズミュージアム」に伴って
ファミリービジネスとして現在でも見ることができ
各有名鉱脈の実物で高品質無添加ナチュラルターコイズを使った
ロウリー・ファミリー・コレクションをリリースしている。
(宝石ターコイズを配したザカリーコレクションは門外不出)
人工的に育成する天然成分
白くなるマトリクス
鑑別が難しい理由
これらについては公には書けないが
御来訪いただければ直接お話しすることはできる
(但しトリーテドナチュラル、無添加天然石に関しては入手困難という記述)
リンク追加1/14 2023
GIA 米国宝石学会 リンク
(パネリストとして正木出席)
エンハンス/ジョーダンロウリー著「ターコイズ」
エンハンスターコイズナゲット サンプル画像(3/17追加)
(20年以上前に入手 鉱山名失念 フォックス?)
その他ターコイズの解説は 一部、下のリンクから。
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