(2006年 10月 投稿 2013年夏 追記、2014年5月 編集)
スモーキービズビーからたどるターコイズの本当の話し
かつて紹介された雑誌の誌面では
ターコイズの名前さえも出すことは控えてきた。
一般にあるほとんどの安定加工済ターコイズや単なるブランド名のように簡単に受け止めるべきじゃないからだ。
あるいくつかの誌面には鉱脈の名前なしで
チャイニーズスパイダーウェブとランダーブルーのリングを並べて
似た見た目と大きく違う値段を見せた。
(チャイナ15000円:ランダーブルー300000円/2000年 当時価)
勿論これは注意を喚起するためだった。
最近、
フリーアンドイージー誌には鉱脈名を記載するようになった。
雑誌の質を見込んでいる事と、
一般市場での宝石ターコイズの誤認が増えたことからだ。
それでも詳しい内容は誌面に収まりきらない。
先日のショップ紹介の中のキャプションは
編集部の方が独自に調べて書いてくださった内容だ。
そこに
補足しておく。
「スモーキービスビーがめずらしい」って書かれているけど
結論から言うとコレクターの世界では珍しくない。 その中で
「綺麗なスモーキービズビーは珍しい」
濁った結果が吉と出たという珍しさであって、
さらにスモーキーがなければグレードは上がる。
どちらかのサイトで言われているのか、
お客様からも何度か問われたことがある。
アメリカの高級ギャラリーでも
白く濁ったビズビーをスモーキービズビーと呼んでいたし
呼び方は自由だ。
それぞれに見所はあろうし悪いとは言わないけど
コレクターにとってはとりたてて珍しいものでもない。
ネイティヴスピリットでは
硬度が充分で半透明な”ビズビーらしい青色”の中に
”チョコレート色のマトリクス”が滲み出て
”紫に煙る”ように見える「部分」が
全体のルックスを侵さない程度に入ってるその「部分」を
スモーキーな「部位」と呼んでいる。
要するにスモーキー・ビズビーと呼ぶほど
スモークが全体に及ぶなら それは濁りであって、
色が薄いと白濁した紫、緑味を含む部分も多く、グレードは下がる。
スモーキー・ビズビーとは低いグレードを売るための
「聞こえがいい呼び方」の場合がほとんどだ。
ターコイズは名前だけじゃない。
ビズビーだから、ナンバーエイトだから、ランダーブルーだから
というだけでいいターコイズとは限らない。
ビズビーターコイズというだけならば、
1カラット150円から果ては50000円を越える程のグレードがある。
ビズビーでも他でもあり得るけど、
特にナンバーエイトの場合さらに飛びぬけた価格になるものが隠されてる。
つまりそれはないものであって
コレクターの間でも流通がなく、出れば言い値で取引される。
これを一部のコレクターはエクセレントグレードと呼ぶ。
実はナンバーエイトの場合、これが古い本に出ているせいで
スタンダードと思われがちな部分だから厄介だ。
(単価/ct=時価/2006)
そしてこれらの古い有名なターコイズは
当然採掘は終わったものだから時価であって下がることがない。
それどころか最近では
スタビライズドやエンハンストの加工処理されたビズビーやナンバーエイトまで
値段を上げてきたものがあって、
まるでナチュラルハイグレードとも思える価格でオファーされたものもあった。
90年代前半までなら無添加ハイグレードが買えた価格だ。
ビズビーに似たレッドスキン・ターコイズというチャイニーズターコイズを
ビズビーターコイズと偽って売るものも2005年に現れた。
ランダーブルーもグレードを落とせばランダーとしては安くなる。
でもその見た目は”ランダーブルーらしさ”に乏しく、
素人目には他の種類のスパイダーウェブターコイズと
見分けられない程度になるだろう。
それならたとえばネバダブルーやインディアンマウンテンのほうが
”それぞれにそれらしく(クラシックに)”見える。
安価でも無添加チャイニーズのトップグレードも珍しさはなかなか。
モレンシのトップグレードはビズビーのトップグレードの半額だけど、
相当に普通のモレンシとは違う稀少なものだ。
(2014年 鉱脈によってはチャイニーズも枯渇寸前、
トップグレードは入手困難になったうえ価格も上がった)
モレンシやキングマンなどの名前は
無添加で使える最低限のコマーシャルグレードが
量産ジュエリー向けに安く大量にリリースしたためイメージが安かった。
そのため、コマーシャルグレードと違ってそれ以上に綺麗に見える色、風景、
スパイダーウェブやウォーターウェブ、バーズアイなどの模様を持った部分を
「ハイグレード・モレンシ」「ハイグレード・キングマン」と
わざわざ名前に「ハイグレード」をつける。
全体が安価だったコマーシャルグレードのターコイズでは他にも
このことわりをつける鉱脈は多い。
こんな具合に書き始めるときりがない。
何時間話しても話しきれないほどの情報がある。
ドクターペッパーブラザーのジョーダンロウリーはかつて彼の著書の冒頭で
「ターコイズのことをなんでも知っている、という人を信用するな」とも書いてる。
絶対にサイトの画像で納得せず
ギャラリーにご足労頂いて現物を日中の自然光の下で見て頂きたい。
一般的には商売の世界のこと そこはセールストークに満ちている。
ご留意されたし。
追記
ビズビー、ナンバーエイト、ランダーブルー・・・etc いずれの名前にしろ
アメリカ一般市場では正真正銘の実物に出会う前に
沢山の安定加工処理済のものや違う鉱脈の偽物に出会うことになる。
裏とも言えるコレクター市場で取引されるようなもので、
表に並ぶことは難しい。
観光される方にはサンタフェのパッカーズが比較的実物に触れやすい。
⇓
追記2013夏
数年前にオーナーを亡くしたパッカーズ(サンタフェ)は営業を終了
ファンシーな観光地で高級店があるサンタフェでも
宝石ターコイズを使用した高級インディアンジュエリーを