今回は少しテーマからそれるけど。
ラコタの兄弟の儀式に行ってたとき、
3月3日に書いたculture 「easy people」の時のこと。
easy peopleこれもティピーの前でくつろいでいた時の話。
叔父にあたる兄弟分のラコタが聞いてきた。
「おまえたちが来たときにいつも貸してるそのティピーな、
親戚とトレードしようと思ってるんだ。
で、何と交換すると思う?」
いきなりのクイズ問題に何かヒネリでもあるのか?
と思いながらも、一番簡単で至極当たり前そうな答えを思いついた。
「馬?」
「そう、馬。でもそれだけじゃない、オマケがあるんだ」
やっぱりなんかあるんだ。
ティピーと馬、充分にいいトレードだと思うんだけど、
他にもまだある?
わざわざ聞くってことは・・・何かいいものに違いない。
でも、それ以上思いつかなかった。
「わからないよ、あとは何?」
「サブマシンガン」
「それってずいぶん条件のいいトレードじゃない?」
「そうなんだよ。しかもXX-XXだぜ?(型式名忘れた)」
「XX-XXって知らないけど?」
「かつて東側のAK-47に対抗してナトー軍が採用した新しい銃なんだ」
「へー、なんでそんないいオマケがついてくんだ?」
「彼んとこにはたーくさんあるからいいんだろ」
「なんでそんなもんがたくさんあるの!?」
「彼はまだ
諦めていないから」
この最後の一言には大笑いした。
冗談だよ。
前半は本当だけど、最後のオチは冗談。
ラコタは1973年にある事件をきっかけに
AIM(American Indian Movement)が中心に部族を率いて
蜂起したことがある。
州軍と対峙して死傷者も出した。彼らにとって切ない思い出だ。
僕の家族、友人関係もほぼ全員関わっていて、
すでに過去に訴追もされている。
諦めていないってのは、つまりそういうことだ。
そのラコタの兄弟分の親戚の叔父さんも、
数年前に病気で亡くなった。
活動家で人望も厚かった叔父さんの葬儀には、
長蛇の列ができたそうだ。
彼にまつわる笑い話や武勇伝は度々話題になって聞かされていた。
相当に魅力的な人物だったに違いない。
会えなかったことが惜しまれる。

Horse / Lakota Nation, 1998 / Tokahe-Naji-winn=Naoko Ogla(C)