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still remain the same / NATIVE SPIRIT (R)

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奪われた聖地 Pt1

彼らの聖地はそこら中にあった。
日々が祈りの連続だった彼らにとって、
それは特別な場所とは限らない。
生活の場所もそれと変らない。
その、「そこら中」は総て奪われた。
平原で言えば「悪魔の塔」「熊の山」「黒い丘」「険しい地」
特に象徴的な風景を醸す場所は
彼らが先祖(自然)の力を感じたように、
後の文明人にとって観光の名所にするにふさわしい。
ただの名所になって写真に収まるただのいい景色になる。

そんなわけで現在
多くのインディアンの住む場所の近くに、
彼らが元住んでいた奪われた場所があり、
国立もしくは州立公園として管理されている。

「おまえはラコタだ金なんか払う必要はない、
家族に会いに行く、そう言って通ればいい」
「おう!」
で、国立公園のゲートを通るとき当然の顔をして
パークレンジャーに
「ラコタの家族に会いに行く」
そう言ったらものすごくいやーな顔をされた。
観光客とは思われない風貌だし、言葉がおかしなのも沢山いる国だ。
単純に国立公園が管理する道を観光以外の目的で、
無料で通ろうとするのが気に入らないだけだ。
それでも、覚えられて顔パスになるとゲートでわずかに瞬間一時停止するだけで
挨拶すると、向こうも不機嫌そうな呆れ顔を見せ付けるように応えた。

そのうち、
「国立公園の中で停車しないで30分以内に南のゲートから出ること」
そう言って許可証をよこすようになった。
まあ、許可証が出るならありがたい。
でも、その次の年は
「あんた覚えてるよ、いつもいつもただで通ろうとして・・・
ここは国立公園で一般道じゃないんだから・・・」
一気に怒りが噴出してきたらしい、俺怒られてる・・・。
さんざんまくしたてられた後で
「あんたらがラコタから奪った土地に用なんかないんだよ!!」
こっちもつい言ってしまった。
憮然とした顔で固まってるから、
舌を鳴らして、そのまま無視してゲートを通り過ぎた。
後も追われず、僕は言ってやったと思いながらも
トラブルにならなくてよかった。
ラコタが騒ぎ出すことも恐れてるんだろうね。

最近はちゃんと金払って通ってる。
その公園の中に滞在したりもするようになったから
当然といえば当然なんだけど、
丸くなった、と思おう。
奪われた聖地 Pt1_f0072997_6111838.jpg

by cwdye | 2007-05-17 06:12 | episode エピソード
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