巣穴に馬が足をとられて戦士が落馬する、と
バイソン狩りの項で触れた。
平原の犬と呼ばれるそれは
何故か日本でペットにされてるから、ご存知の方も多いだろう。
日本は物質的に豊かで精神的な飢えがあるから、
ペットになりそうなものはなんでも大活躍だ。
犬と名がついても齧歯目、
大型のリスのようなもので、
平原に巣穴を作り地中から出てきて草を食む。
その間仲間同士で警戒しあっていて、
危険が近づくと
お互いに泣き声を発して警告をしてる。
観光客が多いあたりでは掟破りの「餌付け」をしてしまう人も多く
人をあまり恐れない。
僕は野生動物はそのまま見るだけで
持ち込んだ餌の「餌付け」には反対だから、
その場にある彼らがいつも食ってる草をむしって近づいてみた。
大抵は隠れてしまうんだけど、
目を合わさずゆっくり近づいて、そっとしゃがんだらまだそこにいた。
その草を差し出してみたら・・・
手を出して受け取って、その場で食べてた。
よくないぞ、そんなんじゃ。
手渡しておいてなんだが、もう慣れてしまってる。
そのあたりのプレーリードッグはデブデブで、
ただでさえスマートとは言えない体系がまるで
鏡餅みたいなやつまでいる。
繁殖力は生態系の淘汰に勝り、一向に減らない。
それどころか増え続けていて
鷹やコヨーテの僅かな力じゃ及ばない
立派な「害獣」なんだ。
(人間がそうさせておいて「害獣」って呼ぶんだけどね)
ある夕方、観光客のいないエリアの平原を車で移動していたら。
いきなりプレーリードッグの生息域に差し掛かった。
それまで路肩でくつろいでいた彼らが一気に草地に逃げ戻ろうとする。
その様子はまるでフナムシを蹴散らした様。
路上と草原を一面のプレーリードッグの色が移動して、
背筋がぞっとした。
哺乳類なんだけど、あんなにいると虫みたいだ。
しかもフナ虫とか蛆虫とか大量にわいて出るような。
僕らの世代あたりの人なら
「ウィラード」や「ベン」を思い出すだろう。
馬が足を取られる話を聞いてから
馬に乗っても、つい気にしてしまう。
そりゃ最初から注意するにこしたことはないけど、
余計にびびるね。
ギャロッピング程度でまず疾走することはほとんどないけど
あたりは確かにプレーリードッグの穴だらけ、
健全な生態系の風景じゃないから非常に気分も悪い。
なんで日本人はプレーリードッグなんか買うんだ?
地元では不思議がられてるが、もってってくれるならありがたい。
そんなわけで巨大な掃除機で吸い込んで捕獲された
プレーリードッグたちはペットとしてさらに安泰な生活を手にする。
気をつけたほうがいい、
日本の生態系が脅かされる日も近いだろう。
捕っても捕ってもまだまだ平原には
日本侵略をもくろむプレーリードッグ達が
確実に兵力を増強して捕獲される日を待ってる。
つづく
(この話も「バイソン狩り」のつづきの布石)
「ウィラード」「ベン」; 昔の動物パニック映画でネズミを題材にした連続作品。