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still remain the same / NATIVE SPIRIT (R)

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ボウリングフォーコロンバイン

さんざん勧めているので
ほんの少しだけレヴューらしきものを書いてみようか
あとは買うなり借りるなりして
是非ゆっくりご覧いただきたい。
最初は僕もしばらく見ないまま放っておいて
近所のアイヌのアーティストであるアゲ君に
勧められて見たんだ。

映画とは言っても
ドキュメンタリーでマイケル・ムーア本人が
カメラを持って各方面に突撃取材する。
話はコロンバイン高校で起こった
2人の少年による銃乱射事件から始まる。

「銃が人を殺すのではなく人が銃で殺す」
これが昨日書いたNRAの言い分でもある。
銃が無い国からすると、
「無いから人が銃によって死ぬのも珍しい、
あるから銃で人が死ぬ」
と、簡単に言える。
ところが問題は複雑で、
そこだけではないことがわかる。
実は、NRAが言ってることは正しいとは思えないが
あながちまちがいではない。
ただしそれはカナダでの話しなんだな。
カナダにはアメリカとほぼ同じ数の銃器が登録されてる。
にも関わらず、銃犯罪は僅かで、
アメリカ程多数の銃器による死傷者が出ない。
何故、アメリカでは起きるのか、
そこに差別と格差社会の構図が見えてくる。

ボウリングフォーコロンバインの
ボウリングはまさにボールゲームのボウリングのこと。
銃を乱射した二人の少年は
ボウリングをしてから犯行に及んでる。
事件後、マスコミや社会は何故彼らが凶行に及んだか
原因を探ろうと必死だった。
そこで槍玉に上がったのが、
マリリン・マンソン、ロックアーティストだ。
僕も詳しくは知らないが、
見た限り彼は悪ではない。
悪を演じてそれを批判してる。
チャップリンがヒトラーのパロディを演じたのと同じだ。
彼そのものを悪と決め付け、彼の音楽が
少年2人を駆り立てたのだ、と
そう思って世間は納得したかった。
マリリン・マンソンは本当に悪いのか?
ボウリングしてたこととは関係ないのか?
というのが、この映画の皮肉な題名の理由だ。
関係ないよ、でもマリリンマンソンも関係ない。
映画の中ではマンソン本人がインタビューに答えて
至極当然な返答をしてる。
気持ち悪い容姿だけど、
往々にしてそういう人間は頭が良くてよくわかってる。
だから、とってもまともで筋が通ってる。

これは日本でもどこでも同じだと思う。
誰かが凶悪な事件を起こすと、
世間は納得する理由が欲しい。
おかしかった何かを見つけると、
そのせいにして安心できる気がする。
でも、それじゃあこれからも防ぐことはできない。
事の発端には、
「普通」と思い込みたい画一的な思考が
根付いていることがある。
いじめの問題も原因を同じくしてると思う。
正しいと思って生きてる人間が悪を作り出すのは
よくあることだと思う。

ボウリングフォーコロンバイン_f0072997_0435430.jpg

ボウリングフォーコロンバイン BOX SETの箱ジャケ画像 アマゾンから拝借

この映画を見ると、
日本の今の内閣が、アメリカのような社会構造を
目指していることも見えてくるはずだ。
愛国、格差、軍備、どれもうまく絡んで
作用するようになるだろう。
作用し始めたら、今までの平和はなくなるし、
格差は一層広がることになるだろう。
by cwdye | 2007-06-18 00:45 | column コラム
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