僕らを家族として迎えてくれたラコタのグランドファーザー(故人)は
古い時代の映画俳優だった。
俳優のジョン・ウェインやジョン・フォード監督の少し前の人だ。
そんなわけで
ショウマンであり俳優だったグランドファーザーと家族は
ハリウッドに住んでいた時代があった。
「仕事でカリフォルニアを離れる時、
アリゾナのどこだったか、
グランドキャニオンの近くの駅に列車が停まると、
インディアンたちが作ったものを窓際に沿って売りに来た。
ちょうど私の近くに
ネックレスを腕にかけたインディアンが来た。
赤いヘッドバンドのナバホで、浮かない顔だ。
私もインディアンだから話しかけてみた
「売れるか?」
「売れないんだ」
そこで私はそのトラディショナルな装束のナバホの男に
平原インディアンのウォーボンネットを被ることを勧めてみた。
仕事を終えてカリフォルニアに帰る復路の駅で
またそのナバホの男に会った。
今度は私の提案通りウォーボンネットを被って売り歩いていた。
近くまで来たとき聞いてみたら
売れるようになったと喜んで礼を言われたよ。」
という、恐らく60年代以前の話。
背に腹はかえられない。
ここ100年、観光化することで
伝統を切り崩したり、変化させることは
生きていくために必要なことになった。
眺めているだけじゃ本来の彼らの姿を見ることはできない。
でも興味を持って見ようとすれば
本当の彼らの姿が見えてくる。
つづく