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still remain the same / NATIVE SPIRIT (R)

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ユーバッドアス、ブロー / イントロ

"you bad ass, bro"

「君はあの男の知り合いか?」
肩越しに静かに威嚇するような低い声が聞こえた。
振り返ると、濃紺のレンジャーハットと制服が
生地の質まで見えるかのように目に飛び込んで来た。
警官がかがんで話しかけてきたんだ。
その背後には仁王立ちのもう一人。
「そうだよ、彼は兄弟みたいなもんだ」
一瞬ひるみかけた僕は見栄を張って応えた。

チャーリーの孫のヴィヴィと
うちの長女のワンブリは同じ歳だった。
グランドマザーの家で会って子供はすぐに意気投合
しばらくいっしょに遊んで夕方から、
そのコミュニティの小さなパウワウに行くことにした。
ワンブリは少し成長してしシャイになってた頃だった。
夏といっても晩夏、夜には寒くなるパインリッジ
それでも子供たちは元気にスノーコーン(かき氷)を食べたがって、
ヴィヴィとワンブリに買ってやったり
チャーリーがふざけて遊んでやってたりで
少しずつ場に馴染んできた。
それでも、パウワウグラウンドが開放された時、
行っておいでと言って、ヴィヴィが手をとってくれても
もじもじしてしまう。
そこでチャーリーが巨体で立ち上がって子供達二人の手をとって、
グラウンドに連れて入ってくれた。
ドラムの音に合わせていっしょに跳ねている
その幸せなシーンを眺めているときに、
まったく興ざめな言葉をかけられた、
勿論、ものすごく不安だった。
「何が起こってるんだ? 彼がなんかしたのか?」
僕の背後に立っている警官に聞きながら立ち上がろうとすると
力の入った手に肩を押さえられて立ち上がれなくなって
「君は何も気にしなくていい」
「でも、あれは僕の娘だし、もう一人は彼の孫だ」」
「わかった」
ダンスが終わって戻ってきたチャーリーに警官が遮って入った。
押し殺した声で話しかけると
チャーリーはやるせない表情で連行を承諾してた。
「君はこの子の家族と所在を他に知っているか?」
「グレートグランマのところに連れて行くよ」
「それじゃあ、あとの事は君に頼む。
彼は問題なければ明日には出られる」

何度も触れているとおり
リザベーションの中はアルコール禁止だ。
チャーリーは隠れて飲んでいるところを見つかったんだ。
それだけのことでも逮捕と、厳しいのがアメリカ。
リザベーションの中もそれは変わらない。
それだけじゃない他の理由もあって、
チャーリーはマークされ続けてたんだ。
警察はこれをチャンスにしっぽを掴んだってわけだ。

ヴィヴィは母親と引き離されて
チャーリーが面倒を見ていた。
その、チャーリーがまた目の前から引き離されて、
連れてかれて行ってしまう。
泣き叫ぶヴィヴィをなだめることもできず、
僕らはヴィヴィをグランドマザーの家に送った。
ユーバッドアス、ブロー / イントロ_f0072997_10395123.jpg

これがyou bad ass, bro の話の始まり
ダスティに会った次の年のことだ。

つづく
続 ユーバッドアス、ブロー
pull over to the right
ユーソーナイス、ブラザー
FBIとティラノザウルス
by cwdye | 2007-11-20 10:25 | episode エピソード
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