長年の追跡調査の甲斐あって
とうとうターコイズの闇組織「TPEC」の取引現場と
取引成立の瞬間を押さえることができた。
「白のアウトバックだ、奴は速いぞ、見失うな」
「だめだ後ろに着いてるのはポリス・カーだ」
ミラーの中、逆光で捜索灯と警告灯が見えた。
「追いつけないな、見失ったか?
これ以上直進はしないはずだ、左に車線を移せ」
「shit! この車線にも、もう一台いるぜ」
「いい目だ、足止め食らうよりましだからな」
車線変更した左に追従していたパトカーは右に車線変更して
2台連なってスピードを上げ走り去った。
その直後、交差点の左折車線にいるアウトバックを発見。
見失わずに済んだ。
「ここか」

「よくここがわかったな諸君」
「すごい量だ・・・」
「そうとも、ここにあるだけで60.000パウンドあるからな」

「でもバレルの中はほとんどチャンクじゃねえか」

「でかきゃいいってもんじゃねえ」

「選別したようだが、これも中の上、
半分はチョークってとこだな」

「いいモノはちゃんとわけてあんだよ、こいつを見てみな」

「グリーン・ターコイズか、代わり映えしないな」
「おっと、よく見てみなって、その中にはファウスタイトが
かなりの割合で含まれてるんだぜ」
「たしかにそのようだが、どれほどのものかな」

「それだけじゃねえ、これを見たらあんたも納得するさ」

「こ、これは・・・ブルーだ・・・。・・・・・・いくらだ?」

「これがパウンドabcドル、こっちもあわせてxyzドル、現ナマでだぜ」

「乗った」
「動くな! 手を上げろ、ゆっくりとだ」
「取引成立、・・・バンザイ」
安っぽいドラマ風の台詞で端折ってるけど
内容的にはほぼ嘘じゃないんだな。
追跡してたんじゃないけど
パトカーが2台いてスピード出せず
おいていかれそうになったのも事実。しかも「暗闇」での取引
いいネタになった。僕が
ターコイズの父と呼んだラリーGクーリーが他界して6年
もうこの見本市に来ても
あるのは大量のスリーピング・ビューティ・ターコイズや
加工済みターコイズに、産出地を偽ったターコイズばかり。
裏で動く原材料や偽物の情報と
友達との交流だけを目的に通い続けていた。
今回はスケジュールを組みなおして
ここに来るまでに殆どの仕事を終わらせていたからなおさらだ。
午前中に郵便局、昼時に雪と泥で汚れた車を洗車。
することが少ないから、兄弟分の仕事を手伝ってから夜
早速、友達と連れ立って食事に行くことになった。
ところがただの会食じゃない、
なんと集まったのは「マイナー」達だった。
「マイナー」といっても「少数派」じゃない。
音楽の話じゃないから「短調」でもない。
ターコイズ・マインのマイナー、「採掘者」だ。
なんてエキサイティングなんだ。
しかも、マイニングの話を聞きながら食事が終わったあとには
友達の仕事場を訪ねることになって、
こういう取引の現場に立ち会えることになった。
僕が求めるものは数粒含まれてるかも知れない程度だけど
模様はともかく質は相当に良いものだし、
ジムにとっていい仕事になるだろう。
何度も言うけどTPECなんて組織はありません。
何度も書いてるのは僕だけどね。
カテゴリをエピソードに入れたいところだけど、
ターコイズの話ということで
「reference 参考」に入れることにした。